「自分らしく生きる」ことのワナ~下流社会~

新年明けましておめでとうございます。

今年の抱負も定めることもなく記事を投稿して参りたいと思います。

年末年始と言えば帰省。最初は会えないかと思っていたものの無事友達と遊ぶことが出来てほくほくしております。

 

さて、自分の地元は奈良になるのですが、その奈良の公立小中学校の友達と、中堅私立高校の友達と会って話すことが出来ました。

大学3年生と言えば、進路を考えたり、短大生は既に働き始めている時期になります。

そういうこともあってみんなの人生観などにも触れることが出来ました。

 

また、自分は末っ子の三男坊で家庭の中ではリッチにのびのび育ててもらったのですが、多少規律正しく育てられた兄や、勝手に堅実に学び続けた姉が居るのでそういった生き方の違いも感じながら帰ってくることが出来ました。

 

そういったところから、相対化して自分を見ることが出来た上で2005年出版の『下流社会 新たな階層集団の出現』という本を読んだので、現代の若者や家庭,地域の環境が生む影響について考えることが出来ればと思い文章にしました。

 

そもそも下流社会とは

かつて日本は一億総中流社会と呼ばれていました。

高度経済成長期に、大量消費の価値観を持って家電や自家用車などをほぼ全ての人々が持っていたため、ほとんどの家庭が中流家庭と同じような生き方をしていたことを指します。

しかし、2005年現代でも所得の不平等さを測る指標であるジニ係数は高く、アメリカやイギリスのように格差が広がっている社会だと言えるのです。

 

かつては年齢が上がるごとに給料が上がっていき、社会的にも豊かになるので自分もその波に乗って憧れだった家電などを購買し、そしてまた仕事を頑張ろうと考えることが出来ました。

しかし、現代は誰もが安価でテレビやPC、スマホなど最低限の物品は買うことが出来ます。だから物質的に豊かな暮らしをすることに強い動機が働かない。そこに不景気や人口減少も重なるのだからなおさらのことでしょう。

そのため人々は高収入を得て、たくさんものを買おうという価値観が薄れ、むしろ低い年収でも自分らしく生きていたいという気風が森永卓郎著の『年収300万円時代を生き抜く経済学』などからも窺われます。

 

こういった下流の人々は簡潔に言うと向上心や計画性が無く、怠惰です。

若者の中でも「パラサイト・シングル」と呼ばれる人たちが増え、彼らの生活は自由気ままで安定しているでしょうが、数十年後の彼らの暮らしは果たして良いものになっているのでしょうか。

 

社会の分断化について

このように簡単に言うと社会は向上心があるか、ないかで格差が広がっていると言うのです。そこには個人的な特性のみならず、家庭環境や教育機会、地域差などが大きく関わります。こういったものは流動性が低く固定化しやすいです。

 

まず、大きな変化の一つとして女性の社会進出があります

今までは女性が類として差別を受けている傾向にありましたが、徐々にそういったことは減っていき、一人一人の女性がどのような志向があるか でレイヤーが分かれてきたと言うのです。

それは、自由に生きることができると言えますが、自己責任社会であるとも言えます。

 

ここからは女性がどのように分けられるか簡単に紹介します。(マトリクスとしては、向上志向↔︎現状維持志向、職業志向↔︎専業主婦志向)

・ミリオネーゼ…自分磨きに余念がなく、高収入を得て、家庭も充実させようという志向の強い。(向上×職業)

・お嫁系…容姿、知性、性格など女性としての武器を使って玉の輿を狙う。(向上×専業主婦)

・ギャル系…将来予測性が低く、早婚や子持ち志向の強い人たち。(現状維持×専業主婦)

・かまやつ系…手に職つけて自分らしく働きたいと考える。(現状維持×職業)

・普通のOL…このどれもに当てはめるのが難しい曖昧な状態にある。

 

これが指すのは、エネルギーのあるミリオネーゼは社会的には成功する傾向があり、お嫁系は女性としての戦いに身を投じなけれいけず、かまやつ系も失敗してフリーター止まりになる人も少なくないということ。そしてこのどれもにハッキリしない普通のOLが選択肢に迷い、時期を逃すことも。

このように、女性がそれぞれの生き方を選ぶことは出来ますが、はたしてそれが成功に繋がるのかというとそうでもない。

 

次に男性の類型の紹介をします。(向上志向↔︎現状志向、仕事志向↔︎趣味志向)

・ヤングエクゼクティブ…高学歴でエネルギッシュで、消費的な価値観を持つ(向上×趣味)

ロハス系…比較的高学歴だが出世志向が弱い、文化や教養を重んじる。(弱向上×趣味)

SPA!系…特に勤勉ではないが、やらなければならないので仕事をする。趣味志向も強いが、アニメ、アダルト、格闘技など少しサブカル的。(現状×弱仕事)

・フリーター系…稼ぎは少なく衣食住にお金は書けないが、自分の趣味にだけ集中投下する。(現状×趣味)

 

男性では数少ないヤングエクゼクティブ系のみが強い向上心を持ち、高所得を目指していますが、その他の類型は強く仕事熱心だとは言えません。

ボランティアや自分らしい生き方が増えている現代を示しているなと思います。

 

地元での話

まずは奈良の公立中高の人たちと話しましたが、安定志向が強かったように思います。

安定=高収入 ではなくて、残業が少なく休みがちゃんとある ってイメージでした。

また、それに加えて「良い職場であること」が重要視されていました。仕事のやりがいというよりは、コミュニティとしての安心感を重視しているように思いました。

これは、奈良という地方に留まった人たちの価値観ではあるかなとも思います。

 

また、高校の頃の友達とも話しました。全国にも行くようなサッカー部に居たので、話た人はある程度向上心が強いです。

その人は大手企業に入ることを比較的重要としていました。安定だけのためではなくて、出世を前提に働きがいなども求めた上ででしたが。

個人としての価値観も関係していましたが、父が証券会社勤務で上場企業の情報に詳しいことも関係があるように思えます。

 

そして実家の長男の暮らしぶりに対しても思うところもあります。

男性の類型として言えば、フリーター系に入るのかなと思います。兄に「もっと積極的に働け!」というのが彼にとって良いものか というのは思いますが、今の暮らし向きに長期性は見えなかったりするのです。

自分らしく生きることが本当に良いのか ってところに関しては長男を見て強く思います。

 

自分はどう?

ちなみに自分はヤングエクゼクティブとロハス系の間くらいに居るなと思います。

結局それは大学で過ごしているコミュニティがそういった傾向があるからであって、違うコミュニティに属していたら異なる考え方をしていたんだろうなと思います。

 

こんな自分になっているのはいくつかのポイントがあると思っています。

①親からのびのび育ててもらい、機会に恵まれた(親の収入増と教育方針の変更)

②兄姉や近所の人から多くを学び教育効率が高かった

③サッカーに熱量を注いで、良いコミュニティに中高と所属した

④その熱量を勉強に費やして国公立大学に合格した

⑤その熱量を持ったコミュニティを選び、利他精神や上昇志向、教養などを得た

ということがあって、今の自分が居ます。

 

格差社会は是なのだろうか

さて、上までであまり論理だって説明することは出来ませんでしたが、「自分らしく生きる」ことを単純に是とするのは格差社会を認めること でもあると思います。

 

もちろんその固定性が高いことには問題があるように思いますが、自分は「格差はあるべきだ」と考えています。

自分の価値観に「努力した人が報われるべき」というものがあり、結果の平等よりも機会の平等を重視したいと考えるからです。

そしてまた、安定志向の人間が一定数いることも踏まえて、格差は生まれるものだと考えました。

 

その上で、社会の流動性を持たせるために出来ることはこういったことかと考えています。

・ローコストの知識教育(インターネット講座など)

・教育者教育機会の増加(家庭教育を中心に据えているが、その他教育も含む。)

ノブレス・オブリージュを実現するコミュニティ(インセンティブがないのに義務ってのは厳しいが、金銭じゃない価値を生み出せれば成り立つ。)

あたりかなと考えています。

 

個人的にはやはりサッカーで育ったところも大きく、地域のスポーツクラブに可能性を感じたりしています。

上昇志向の人々の教育を元手に、ボランティアで人間観の教育をする みたいな生き方も一つの理想だなと感じます。

これからの社会ではアッパークラスにハイブランドな商品を売っていくことが重要になってくるはずですから。