【読書まとめ】行動分析学マネジメント

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行動分析学マネジメントを読みました!シンプルに言えば行動に着目し、その行動の増減をコントロールすることで個人や組織を変革するための手法に関して書いています。

 

■基本の考え方


行動分析学の基本は、行動の後に着目する。ある行動の後に、反応が返ってくるために人はその行動をする。このように、ある行動に対して何かが返ってくる性質を行動随伴性という。行動分析学では人や動物は行動随伴性があるので行動を起こすと考える。

ある行動を増加させることを「強化」、ある行動を減らすことを「弱化」、ある行動を無くすことを「消去」という。

ポジティブに行動を増やす言動を「好子」と呼び、強くネガティブに行動を減らす行為を「嫌子」という。(実際には好子や嫌子が与える強化と弱化は裏表の関係にある。サボっている状態を叱って弱化することは頑張ることを強化している。)

また、消去のためにはその行動に対する行動随伴性を無くせば良い。例えば子供が頑張ってテストで100点を取っても褒めなければいつかは子供はやる気をなくすだろう。このように行動に対して反応が返らないことによってに行動意欲を徐々に失っている状態を「学習性無力感」と言う。

 

■実践的な部分

例えば褒めるまでの時間や回数も良い褒め方には関係がある。

もしある活動を短期集中的に向上させたいならば少ない回数の行動でも好子をより多く与えればいいが、それでは行動に継続性が失われてしまう。そう言う場合は不確実性が高く何回すれば好子がもらえるか分からないし、どれくらい時間が経てば好子がもらえるかが分からないような状況が望ましい。不確実ゆえに人は強く好子を得られている状況を実現しようと努力するのである。

このようにただ褒めれば良いってものじゃないことも科学的な分析に基づいていれば自分が正しく人を育てていることができているのかの拠り所にはなるなぁと思ったりしますね。

 

行動分析学において主要な考え方が、課題分析である。

業務などある成果を出すために必要な行動はいくつかのプロセスを経るとおもうが、それを細かくプロセスに分解し、そのどこに課題があるのかを明確にして集中的に行動を改善することが良いパフォーマンスを発揮するために必要である。ex)テレアポ→アイスブレイク→ヒアリング→プレゼン→クロージング→契約のようなプロセスの分解

ある行動を集中的に強化するためにはシェイピングが使える。
シェイピングは、プロセスの中で達成できないものを集中的に強化し、それが得意な者たちが教えあったりノウハウを共有することで組織として行動を上達させていくものである。
シェイピングにおいては目標を細かく砕いて達成感を味わえやすくする工夫が必要である。そして目標を達成した時に好子を与えやりがいを感じてもらうことが重要である。

また、シェイピングを行う際に通常のプロセスで行うことを「フォワード・チェイニング」と言い、後ろの工程から逆になぞることを「バックワード・チェイニング」と言う。
バックワード・チェイニングは、後ろの工程を味わうことで成功を疑似体験することができる。そうやって成功イメージや、自信をつけて行動させることができるのがバックワードチェイニングのメリットである。

 

また、行動分析学としては行動の後にのみ注目するわけではない。行動の前に影響を与える刺激を刺激弁別という。

好子によってのみしか行動を強化できないとすれば人は行動を始めることができない。よって事前の刺激によって行動を促す必要がある。これをプロンプトという。
プロンプトには①言語②行動③モデル④身体 というレベルになる。(①から他者にされた時に抵抗が少ないものになる。)
②は仕草で促す。③はロールモデルを見せるということ④は実際にその者の体に触って促進するということである。プロンプトは徐々に減らす必要がある。これをフェイディングという。

また、フィードバックという言葉は行動分析学的には異なる。フィードバックもまた刺激弁別である。
その定義は「これから行う行動を導くための、今まで行ってきたその行動の記録や分析」である。このフィードバックは行動の終了後よりも行動前に行われた方が効果的であるということだ。本当は毎回行うのが記録に基づいた調整を行えるために望ましい。
またフィードバックは強化と合わせた方がより良い効果を増すため好子を用いつつ行動前に行うとよい。

 

 ■自分を変えるために

自分を変えるためには、自分で自分の行動を強化しなければならない。
大きな目標を達成できたから自分を褒めるのではなく、些細な前向きな行動ができていれば自分を褒める。能力を評価して慢心することや、他人に自慢するような状況でなければ自分の行動を褒めること自体にはなんの問題はない。実際アスリートなどは自分で自分のことを褒めるのが上手である。また物理的に自分にご褒美を与えることで行動を強化することも良い。また、強制的に自分がその行動を行えないように物理的に働きかけることもできる。例えば財布を持たないことで消費を抑えることなど。

行動にはオペラント行動と、レスポンデント行動がある。オペラント行動は行動の直後に原因があるものである。レスポンデント行動はパブロフのイヌのように行動の前の環境内に要因がある。
これを解説すると、肉を食べるとよだれが出るという無条件刺激と、ベルの音という中性刺激(それ自体は何でも無い刺激)が結びついて条件刺激としてベルの音でよだれが出る状態が生まれる。
このようなレスポンデント行動をなくすためには、中性刺激が本質的なものでは無いといことを理解し、反復して修正するしかない。

しかしこの中性刺激による条件刺激があまりに強い場合、修正すら出来ない。
そういった場合は似たようなもので刺激を緩和する。実像がなくてもイメージを頭で反復するだけでも恐怖反応は緩和することができる。

 

■まとめと学び

 自分にとって学びがあったのはバックワード・チェイニングと、自分を変えるための方法ですね。また、昨日は組織文化の記事をあげましたが↓↓

kosukebond.hatenablog.com

イケイケな雰囲気という事前の環境があることよりも失敗をしても受け入れてもらえる好子があることが重要だということが腑に落ちて考えることができました。

確かに人が行動しない理由って、その後の結果が分からなかったり、良くなかったりするからだなぁと考えるとセルフコントロールも可能になるかもしれないですね!